TA Instruments™ TGA Smart-Seal™ Pan

密封して正確な測定値を高精度で提供

TA Instruments の TGA Smart-Seal Pan は、グローブボックス内に TGA 装置を設置する必要性をなくし、空気に敏感なサンプルの熱重量分析 (TGA) を可能にするために開発されました。

この新しいパンは、汚染から保護するためサンプルを密封します。パンのシールは、閉じられた TGA 炉内で自動的に開き、プロセス全体で不活性状態を保証します。ニチノール形状記憶合金製の温度作動式アクチュエーターが、55 °C でカッターを作動させ、パンのシールを開きます。

この革新的な TGA Smart-Seal Pan は、サンプル処理を簡素化し、TGA をグローブボックス内に設置する場合と比較して、コストを削減します。

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詳細

TA Instruments のTGA Smart-Seal Pan は、標準的な熱重量分析装置で空気に敏感なサンプル材料を分析するための効果的で使いやすいソリューションです。熱重量分析 (TGA) では、サンプルを制御された温度変化にさらしながらサンプルの質量変化を測定し、熱安定性、組成、分解特性に関する洞察を科学者に提供します。

電池や医薬品など先端材料を使用するアプリケーションでは、研究者は大気に敏感なサンプルを取り扱います。従来は、パンに材料を入れて蓋で密閉し、TGA にロードする直前に蓋に穴をあけることで対応してきました。しかし、最新の高性能材料は多くの場合、大気に非常に敏感です。パンのシールを開けてから TGA 炉にロードするまでの短時間の大気接触でさえ、データの品質に影響を与えたり、ユーザーにリスクをもたらしたりする可能性があります。これまで、このような材料は、TGA をグローブボックス内に設置して分析することが一般的でした。これはコストがかかり、広いスペースが必要なソリューションであり、TGA の有用性や保守性に大きなデメリットがあります。

TA Instruments の新しい TGA Smart Seal Pan は、TGA 装置をグローブボックス内に設置することなく、高感度サンプルの TGA 分析を実現する革新的なソリューションです。密封型パンは、Discovery TGA 装置にサンプルをローディングする間も制御環境を維持することにより、不活性サンプル処理を保証します。TGA Smart-Seal Pan は、温度が約 55°C に達すると、閉じてパージされた TGA 炉内で自動的に開きます。TGA Smart-Seal Pan は、TGA をグローブボックス内に設置する場合と比較して、操作が簡単でコストを削減しながら、妥協のない TGA データ品質を実現します。

機能と利点:

  • サンプル保護の強化: 密封シールが敏感なサンプルを大気汚染から保護します。
  • コスト効率: グローブボックスを設置する TGA と比較して、コストとスペースを大幅に節約できます。
  • 操作性: サンプルの封入や処理が簡単で、標準的な TGA 試験に対応します。
  • 発生ガス分析 – EGA: 標準の EGA 接続により、グローブボックスを設置する TGA で一般的に使用される複雑な気体サンプリングのセットアップが不要で、分解生成ガスの容易な分析が可能です。
TA Instruments™ TGA Smart-Seal™ Pan

テクノロジー

TGA Smart-Seal Pan は、アルミ二ウム製の TGA サンプルパン、アルミ箔の蓋、温度作動式カッター付きベイルアセンブリで構成され、最高 600 °C までの大気に敏感なサンプルの TGA 分析に使用できます。サンプルは、通常はグローブボックス内の保護雰囲気下でサンプルパンに充填されます。パンはアルミ箔の蓋で密封されます。この密封により、その後サンプルを通常の大気条件下で設置された TGA にセットするまで大気から保護することができます。

密封された TGA Smart-Seal Pan がオートサンプラーから TGA にロードされると、炉が閉じ、不活性ガスでパージされます。パージされたら、TGA の加熱プログラムが開始します。TGA Smart-Seal Pan のイノベーションは、その自立型の温度作動式開放メカニズムにあります。ベイルアセンブリでは、形状記憶合金が約 55 °C でカッターを作動させ、るつぼ上でアルミ箔を開きます。これにより、閉じてパージされた TGA 炉内でユーザーが介入することなくパンのシールが自動的に開き、TGA 分析を通常どおり実行することができます。

TA Instruments™ TGA Smart-Seal™ Pan

アプリケーション

六フッ化リン酸リチウム (LiPF6) は、水に非常に敏感なバッテリー電解質成分です。乾燥状態では、サンプルは 150 ~ 250 °C でシングルステップで五フッ化リン (PF5) に分解されます。湿潤状態では、フッ化水素 (HF) とフッ化ホスホリル (POF3) が生成されます。TGA データは、100 °C 未満で 2 番目の重量減少ステップが生じると影響を受けます。これは、HF と POF3 の発生と関連しています。

以下の TGA データは、グローブボックス内の TGA Smart-Seal Pan に密封された LiPF6 サンプルと、一般的な TGA 密封パンと同様の方法でロード中に水蒸気にさらされた LiPF6 サンプルを比較したものです。常温の実験室に設置された Discovery 5500 TGA が使用されました。TGA Smart-Seal Pan で測定したサンプルでは、100 °C 未満の重量減少の兆候は検出されませんでした。また、FTIR データは、周囲湿度に短時間さらされたサンプルとは対照的に、TGA Smart-Seal Pan のサンプルからは POF3 の発生が検出されなかったことを示しています。このデータは、TGA Smart‐Seal Pan で測定された LiPF6 が実験の実行中に乾燥状態を維持したことを明確に示しています。

Fig. 1: LiPF6 TGA data showing expected single weight loss step when using a TGA Smart-Seal Pan (blue) and a 2-step weight loss indicating humidity contamination for a sample only briefly exposed to atmosphere (green).
Fig. 2: FTIR analysis of evolved gas from LiPF6 TGA shows only PF5 for test with TGA Smart-Seal Pan (blue) while the sample briefly exposed to atmosphere leads to HF and POF3 decomposition products indicating humidity contamination (green).

図 1:TGA Smart-Seal Pan を使用した場合に予想されるシングルステップの重量減少 (青) と、サンプルが大気に短時間さらされた場合に湿気による汚染を示す 2 ステップの重量減少 (緑) を示した LiPF6 TGA データ。

図 2:LiPF6 TGAから発生した生成ガスの FTIR 分析では、TGA Smart-Seal Pan を使用した試験でのみ PF5 を示し (青)、サンプルが大気に短時間さらされ、HF および POF3 分解生成物が発生した場合は、湿気による汚染があったことを示しています (緑)。

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