セルは、バッテリーに採用できる最小のパッケージ化形態です。リチウムイオンバッテリーセルは、円筒セル、プリズムセル、パウチセル、およびコインセルの4つの形式で供給されています。最初の3つの形式は製品に使用され、一方、コインセルは典型的に研究専用です。バッテリーセルの試験は、より大きなモジュールやバッテリーパックにセルを組み込む前に、バッテリーの設計と構成要素を最適化するための重要なステップです。各構成要素がセル性能に及ぼす影響を理解するには、カソード、アノード、およびセパレータの分析試験ソリューションを参照してください。
バッテリー科学者は、充放電サイクリングの際に、セルの効率および劣化を判定する必要があります。等温マイクロカロリメトリー (IMC) とサイクラーまたはポテンショスタットを組み合わせると、寿命の予測、セル性能の順位付け、および熱管理評価に関する重要な洞察を得ることができます。
TA Instrumentsのバッテリーサイクラーマイクロカロリメータソリューションは、バッテリー試験を最大限に活用するための最高のスループット、統合、および高感度のソリューションを提供し、複数回再現しなければならないデータを取得するための実験時間を数ヶ月から数週間へと大幅に短縮します。
適用例
バッテリーの全セルを対象としたオペランド熱量測定試験
負荷条件下にあるか充電条件下にあるかを問わず、バッテリー内で生じる電気化学プロセスでは周囲との熱交換が起こります。荷電種が電池の内部を流れる際に行う作用の結果、アノードおよびカソードでの酸化還元反応や、バッテリーの有効寿命を制限する原因となるさまざまな寄生的な副反応が起こるほか、発熱も起こります。等温マイクロカロリメトリー(IMC)は、物理化学的プロセスにおける材料の最小の反応を測定するための非特異的かつ非破壊的な手法です。これは、サンプルからのヒートフローを一定の温度で測定することによって行われます。バッテリーの研究において、Liイオンバッテリーの等温カロリメトリーは3つの関心領域を対象としています。
- 第1の関心領域は、熱管理の観点から見るセルによる熱出力です。
- 第2の関心領域は、エントロピー変化によって裏付けられる、活物質における構造変化の理解です。
- 第3の関心領域は、セルの性能の順位付けのために熱を寄生反応から隔離することです。パウチ・コイン・ペースメーカー・携帯電話・円筒形バッテリーの評価は、受動保管条件下で、またはバッテリーサイクラーと同期して行うことができます。
バッテリーサイクラーマイクロカロリメータソリューションは、感度の高い等温マイクロカロリメトリーを電気化学解析と組み合わせた、単一の統合ハードウェア・ソフトウェアソリューションとなっています。この方法論を用いて、セルの挙動に関する貴重な洞察を得ることができます。図1は、マイクロカロリメータで使用されるバッテリーリフターの簡単なセットアップを示しています。図2のグラフは、TAM Assistantを使用して分析されたデータを示しています。これは、4サイクルにわたるセルの平均寄生力とクーロン効率を示しています。クーロン効率は電気化学的効率の尺度であり、逆に寄生電力はセルの化学的・電気化学的副反応の両方を含む非効率の尺度です。