DIL 806で利用されるこの光学膨張測定手法は絶対的なプロセスであり、試験装置の膨張または収縮とは完全に切り離されています。そのため、さまざまな温度プログラムのために測定結果を修正、較正する必要はありません。DIL806ファーナスの高速応答と組み合わせることで、システムは複数の温度ステップ、および動的な加熱速度を含む動的プロセスの分析を実施することができます。
高性能LEDが幅広い平面光をサンプルに照射します。サンプルの影が高分解能CCDセンサーによって検出されます。サンプルは高感度で高精度の寸法変更測定を提供するデジタルエッジ検出プロセッサーによって評価されます。この原理はshadowed light methodと呼ばれ、温度を変化させながら、サンプル寸法の正確かつ絶対的な測定を可能にします。
ディスク形ファーナス中央のプラットフォームに置かれたサンプルは、外力にさらされます。そのため、DIL 806は金属の測定に最適な膨張計であり、オプションで零度以下のファーナス、プラスチックサンプルもあります。
薄いサンプルも、この目的のために設計されたサンプルホルダーによって容易に分析できます。
入射光の幅が広いため、サンプルの準備は従来の膨張計技術のように難しくなく、サンプルをプラットフォーム上に正確に置く必要が無いため、経験の浅い操作者にとっても容易に使用できます。
最初の長さは自動的に決定され、線形熱膨張係数を計算するために保存されます。
ファーナスは最大100 °C/分までの急速加熱と、10分以下の1400 °Cから50 °Cへの冷却に対応します。
サンプル長: | 0.3 – 30 mm |
サンプル高さ: | 最大 10 mm |
長さの変化: | 最大 29 mm |
長さ分解能: | 50 nm |
温度分解能: | 0.1℃ |
α正確度: | 0.03 x 10-6 K-1 |
温度範囲: | -150℃ ~ -600℃ |
雰囲気: | 真空、不活性気体、空気 |
Optical Dilatometric Measurement
光学膨張測定
非接触式の膨張測定によって、サンプルは機械的接触による干渉を受けることなく自由に膨張、収縮できます。その結果、検体の寸法変化とイベント検出時の温度をより高精度に決定できます。また、測定システムとの接触による荷重が存在しないため、システムは軟化点から融解点まで分析範囲を拡大し、本来は試験できなかった柔らかいサンプルも分析できます。
100μm tall detection area
高さ100μmの検出エリア
焦点を合わせたLEDビームによって、膨張測定の対象となるサンプルの領域は、サンプル全体で高さ100μmです。これにより、サンプルの準備が大幅に簡素化されます。従来の膨張測定と異なり、サンプル面の平面性と表面の粗さが測定の精度に大きな影響を与えないためです。
Temperature uniformity across the sample both horizontally and vertically
サンプル全体における垂直方向、水平方向の温度均一性
サンプルはディスク形の高速応答ファーナスの中央に置かれます。この設計によって、加熱速度、冷却速度が高い場合でも、測定温度範囲全体におけるサンプル全体の徹底的な温度均一性を可能にします。
Absolute measurement method requires no calibration and no correction
絶対測定手法には較正、補正が不要です。
シャドーライト法は本質的に絶対的な手法です。サンプルの寸法変化の測定値は、試験の温度プロファイル次第で試験装置で発生することがある寸法変化の影響を受けません。したがって、較正/補正曲線を実行、保存する必要がないため、DIL 806の結果は試験方法に異なる加熱/冷却プロファイルが必要な場合に非常に柔軟で再現性のあるツールです。
Environmental control
環境コントロール
試験中に環境条件を効果的に制御するDIL 806を利用することで、空気中だけでなく、真空中、不活性ガス中でもサンプルを分析することができます。これは金属と合金の分析で必要とされる重要な機能です。
Metals - Thermal expansion of thin film
金属 – 薄膜の熱膨張
従来、プッシュロッド膨張計における薄膜の測定では、プッシュロッドにようる接触力が問題となっていました。DIL 806光学膨張計は薄膜の特性評価と、サンプルのサイズや準備に制限のある他の材料に適しています。この例では、薄いスチール箔の熱膨張と相転移がDIL 806非接触式光学膨張計によって評価されています。測定プロセスは絶対的かつ非接触式なので、システムの較正曲線は不要です。薄膜を固定するためにサンプルホルダーを利用できます。
Fast fired ceramics
高速焼成セラミック
加熱速度が非常に高く、温度の均一性とDIL 806に固有のシンプルなプログラミングのため、DIL 806は工業プロセスのシミュレーションに最適です。エネルギーと時間を節約するため、セラミック成形体の高速焼成プロセスが望まれます。ただし、多くの場合、この種の熱処理は、最終製品で不完全な高密度化を発生させることがあります。この例では、サンプルはユーザーが定義する収縮に到達するまで、急速に加熱されます。この時点で、材料の焼成挙動を緊密にモニタリングするため、複数の等温膨張および冷却速度が使用されます。膨張計での測定に基づいて、これらの温度制御パラメーターを微調整することで、工業プロセスを合理化し、費用効果の高い処理条件で、希望する物理特性を備えた最終製品が生成されます。
Introducing the Optical Dilatometer