誘電測定
DHRモデルの誘電アクセサリは、動的機構に似た追加技術を提供することで材料の特性評価技術を強化します。誘電分析では、機械的荷重 (応力) とは異なり、振動電場 (交流場) が利用され、振動ひずみはサンプルに電荷 (Q) を蓄積します。この技術はサンプルに蓄積される電荷の量 (容量)、または、バルクを通して伝達される殿下の量 (伝導率) を測定します。DHRは環境試験チャンバー、軸力制御、ギャップ温度補償ルーチンなどの標準機能によって、容易な試験のセットアップと較正、および、データ正確度を実現する柔軟なプラットフォームです。誘電分析は相分離システム、および、エポキシやウレタンシステムなどの材料に関する硬化速度のモニタリングにおいて、PVC、PVDF、PMMA、PVAなどの極性材料を特性評価するための非常に強力な技術です。誘電分析は、通常は100 Hzまでに制限される従来型の動的機械分析の周波数範囲を拡大します。
技術
誘電アクセサリは25 mmの並行プレートから構成されます。これらのプレートは、特定の電圧、周波数の信号を重ね合わせる誘電LCRメーター (Keysight E4980AまたはE4980AL LCR) と接続するためのワイヤーとハードウェアを装着できます。利用可能な電圧範囲は0.005~20 Vで、周波数範囲は20 Hz~2 MHzです。環境試験チャンバー (ページ26) は-160℃~350℃の範囲で温度制御機能を提供します。このアクセサリを利用することで、レオロジーと誘電率の情報を同時に収集できます。誘電率測定を単独で実施することもできます。
機能と利点
- Smart Swap™テクノロジー
- セラミックで絶縁された直径25 mmのプレート
- 硬化システムに用いる使い捨てプレート
- スタンドアロンの誘電率測定
- レオロジーと誘電率の測定を統合
- TRIOS Softwareで完全にプログラム可能
- 時間/温度スーパーポジション
- マスター曲線の生成
- 幅広い誘電周波数範囲:20 Hz ~ 2 MHz
- 取り付けと取り外しが容易
- 温度範囲-160℃~350℃でETCに適合
- USBインターフェース
Phase Separation in Cosmetic Creams
化粧用クリームの相分離
食品や化粧品などの材料の温度安定性は保管と輸送における製品の性能にとって非常に重要です。安定性評価にはレオロジー試験が広く使用されていますが、誘電特性を同時に測定できる機能は、複雑な材料に対し、より大きい価値を提供できます。右の図は、2種類の水性化粧用クリームに対し、25℃から-35℃まで冷却する試験を実施したときの例を示しています。2つの材料のデータのうち、貯蔵弾性率G’だけを比較すると、POND’S®クリームではほとんど変化を示さず、-18℃付近で急激に3桁増加していますが、NIVEAの貯蔵弾性率は温度範囲全体で、より連続的な変化を示します。機械的応答だけを見た人は、POND’Sが-18℃付近で急激に増加したことは不安定性と関連していると結論づけるかもしれません。しかし、損失誘電率ε”を同時に測定すると、イオン移動度に関連する情報 (この例では主に水相) を得ることができます。NIVEAのε”は急激に2桁増加しますが、POND’Sのε”はほとんど変化しません。ε”の急激な増加は水が分離するにつれて材料のイオン移動度が変化したためです。最終分析では、相分離がNIVEAでは発生しますが、POND’Sでは発生しません。冷却プロセス中、相分離が徐々に発生するにつれて、水相が成長し、形態を変化させます。形態が次第に変化するにつれて、G’も変化します。POND’SのG’が大きく変化したことは、より安定で均一な形態の遷移によるものです。
Dielectric Temperature Ramp at Multiple Frequencies
多周波数の誘電昇温
右の図は1,000 Hz~1,000,000 Hzの4種類の誘電周波数におけるPoly (メタクリル酸メチル)、PMMA、サンプルの昇温を示しています。遷移領域で周波数が増加するにつれて、ε’の振幅が減少していることと、tan δ の遷移のピークが高温側に移動していることが分かります。