DiscoveryレーザーフラッシュDLF 1600は、室温から最高1600℃までの材料の熱拡散率と比熱容量を測定する先進の自立型機器です。独自のレーザー、レーザー光学、センサー、ファーナステクノロジーを統合した設計で、独自の高純度アルミナ製5ポジションサンプルカローセルを備え、かつてない優れた測定精度とサンプルスループットを実現します。空気、不活性ガス、真空状態などさまざまな雰囲気条件で操作可能なDLF 1600は、ポリマー、セラミック、炭素、黒鉛、合成材料、ガラス、金属、合金を含む幅広い材料の特性評価を行うことができます。
DLF 1600 の特徴
- 競合デザインと比較して40%以上のエネルギー出力を備えたパワフルなレーザーで、厚みや熱伝導に関係なく、最高温度および幅広い種類のサンプルの試験を正確に行う
- 独自の光ファイバーワンドにより、99%の均一な光線を出力。サンプルに均一な放射線を照射する
- 比類なきスループットと優れた比熱容量測定を行う特許取得*の5ポジションカローセル
- フレキシブルなカローセルの設計、さまざまなサンプルホルダーで設定可能、幅広い試験に対応するアダプターと特殊な冶具
- 室温から1600℃までの優れた温度性能および空気、活性ガス、真空での測定を実現する高度なアルミナ製マッフル管ファーナス
- 最適な信号雑音比の高感度IR検出センサーを備え、全温度範囲で最高精度を実現
- 薄く、伝導率の高い材料の熱拡散率のリアルタイムなパルスマッピング
- ASTM E1461、ASTM C714、ASTM E2585、ISO 13826、ISO 22007-Part4、ISO 18755、BS ENV 1159-2、DIN 30905を含む業界標準試験法に適合する
*米国特許 #6.375.349.B1
レーザー源
種類 | クラス1Nd:ガラス、自立型 |
パルスエネルギー(可変) | 最大35ジュール |
パルス幅 | 300µs~400µs |
独自の伝達光学 | 光ファイバーワンド |
ファーナス
温度範囲 | 室温 ~ 1600°C |
雰囲気 | 空気、不活性ガス、真空(50mtorr) |
検出
熱拡散率範囲 | 0.01~1000 mm2/s |
熱伝導率範囲 | 0.1~2000 W/(m*K) |
データ取得 | 16 bit |
精度
熱拡散率 | ±2.3% |
熱伝導 | ±4% |
再現性
熱拡散率 | ±2.0% |
熱伝導 | ±3.5% |
サンプル
円形 | 直径 8、10、12.7、15.9mm |
四角 | 長さ8mm/10mm |
最大厚さ | 10 mm |
オートサンプラー
種類 | 5ポジションカローセル |
高性能レーザーと高度な光学技術
高性能レーザーと高度な光学技術
DLF 1600は、業界最高性能かつ堅牢なレーザー光源、および効率性の高いデリバリーシステムを備えています。内蔵アライメントを備え、独自のクラス1りん酸ネオジムガラスレーザーと光ファイバーパワーワンドシステムにより、レーザーエネルギーの効果的な生成とサンプルへの照射を確実に行います。
- TAが設計・製造した独自のレーザー
- サンプル表面への照射量が最も近い競合システムと比較して40%強化されます。
- 99%の均一なレーザーエネルギープロファイル
- ノイズフリーデザイン – レーザーとファーナスモジュールを分割し、電磁妨害の影響を抑え、長期的な光学配向安定性を確保します。
柔軟かつ生産性の高いサンプルカローセル
柔軟かつ生産性の高いサンプルカローセル
カローセルを標準装備し、最大1600℃まで、1回の実験で最大5個のサンプルを同時に試験できるのは、DLF 1600のみです。カローセルは、最大直径15.9mm、厚み10mm、かつ競合の高温のライトフラッシュ機器より20%大きく、50%厚いサンプルに対応します。光学トレイとアダプターにより、円形や四角を含め、さまざまな寸法や形状のサンプルに対応できます。特殊なサンプルホルダーを備え、液体、粉末、ペースト、ラミネート、薄膜の面内試験に対応します。
1600℃ファーナス
1600℃ファーナス
DLF 1600ファーナスの賢い設計は、温度性能のあらゆる側面で、競合ライトフラッシュ分析機器を凌ぐ点です。ファーナスは、ケイ化モリブデン(MoSi2)ヒーター、高純度なアルミナマッフル管、複数のバッフルを採用し、熱擾乱を防ぐ長さになっています。その結果、1600℃でサンプルの信頼性の高いコントロールを行い、安定性が高く、均一な加熱を行うファーナスが作られました。DLF 1600を操作する場合、カローセルのサンプルは、試験中、大気温度から1600℃までの設定済み温度に達し、維持します。真空、酸化気体、または活性ガスパージを含む静的または動的雰囲気で、サンプル試験を実行できます。その結果、室温から1600℃までの再現性の高い熱拡散率測定が可能になります。
精密なIR検出センサーと光学技術
精密なIR検出センサーと光学技術
DLF 1600は、液体窒素冷却による高感度なアンチモン化インジウム(InSb)IR検出センサーを搭載し、全温度範囲で信号雑音比を実現します。内蔵の液体窒素デュワーは、中断なく実験を拡張し、24時間自動運転を行います。また、検出センサーパスの光学技術により、サンプルサーモグラムの均一かつ正確な測定を確実に行います。IR検出エリアはサンプル表面の90%以上をカバーしており、不完全なサンプル準備による「フラッシュスルー」などの周縁効果を含め、外部の放射線の影響を受けずに代表的なデータを収集することができます。
比類なき精度と再現性
比類なき精度と再現性
測定したデータの真の値に対する近似値を定義する精度は、既知の条件における動作レベルを把握する上で最も重要です。右上の図は、参照値と比較したモリブデンのサンプルにおける3回連続の実験結果を示しています。データによると、DLF 1600の精度は、温度範囲全体で、仕様の±2%以上優れかつ2.3%の範囲内におさまることがわかります。1600℃の最高温度においても、1.26%の偏差で優れた結果を出すことに留意してください。
測定システムの再現性または精度は、同じ条件下の同じ機器において、複数の測定の変動値で決まります。右下の図は、100℃間隔で室温から1600℃までの温度で試験された5つのモリブデンサンプルにおける測定の再現性を示しています。平均からの偏差は±1%以下であり、結果のほぼ80%が平均の±0.5%以内です。これらの結果は、全温度範囲で仕様の±2%以内で、DLF 1600の比類なき再現性を実証しています。
過酷な条件下でも、最高精度の拡散測定を実現
過酷な条件下でも、最高精度の拡散測定を実現
正確な測定を行う機器性能は、システムとして効率的に連動する設計エレメントに左右されます。ライトフラッシュ機器では、これらのコンポーネントには光源、パルス放射、検出センサー、ファーナスが含まれています。ライトフラッシュシステムの性能を把握するには、すべてのコンポーネントの測定の限界値に達する条件下でサンプルを評価します。これに該当するライトフラッシュの極端なケースは、厚みが最大、かつ温度が最高のサンプルです。
9.9mm厚のサーモグラフサンプル(競合の機器で許容する最大値より厚みが65%も多い)は、100℃から1600℃まで100℃間隔の温度で、DLF 1600を使って試験されました。未加工データのサーモグラフは、最も厳しい測定(1600℃)を右上に示しています。これを見ても、独自の高出力レーザーとパルス照射、均一な加熱ゾーンの高温度ファーナス、高感度なIR検出センサー、16ビットのデータ処理と組み合わせることで、DLF 1600は高い信号雑音比を実現し、厳しい条件下においても優れたサーモグラフ結果を出すことがわかります。
右下のグラフは、9.9mm厚のサーモグラフサンプルを3.2mmと6.1mmの2種類の薄いサンプルと比較した熱拡散率の結果(基準データと重ね合わせたもの)を示しています。図の中の結果は、幅広い範囲の条件下で正確な測定を実行できるDLF 1600の優れた設計を証明しています。報告された数値はすべて、基準(参照値)の±2%以内におさまります。最も厳しい条件下(厚みが最大)においても、50%以上の熱拡散率測定値の偏差は1%以下です。
簡単で正確なフラッシュ分析データを実現する実証済みのソフトウェアプラットフォーム
Discoveryライトフラッシュ機器にはすべて、機器コントロールおよびデータ分析用のFlashLine™ソフトウェアが付属しています。Microsoft Windowsベースのソフトウェアには、機器コントロールインターフェースでの実験パラメータをシンプルにプログラムするための直感的なテーブル式フォーマットが備わっています。リアルタイムなモニタリングにより、各試験におけるデータ品質と機器性能をその場で評価することができます。データ分析モジュールの自動ルーティンにより、伝導および放射における熱損失補正のモデルを含め、高度な分析ツールをユーザーに提供します。パルス波形マッピングの測定システムと統合することで、FlashLineは時間に対するレーザーパルスの正確な波形を判断し、パルス波形と幅補正を行います。また、フラッシュゼロ点を識別し、薄形のサンプルや拡散率の高い材料の正確な測定を行うのに不可欠な有限パルス効果補正を行います。さらに、TAインスツルメントが開発した「適合度(Goodness of Fit)」評価ツールを使用すると、ユーザーは異なる熱拡散モデルで計算された最適な結果を選択することができます。
ソフトウェアの特長:
- ユーザー定義による加熱ランプ手順で、無限の温度セグメントが設定可能
- 温度セグメントごとに、各サンプルについてレーザーエネルギー出力をユーザーは選択可能
- 試験中にすでに完了したセグメントのデータ分析
- 比較研究法により、比熱容量を決定
- 自動的なマルチショット選択と平均化のオプション
- 透明および半透明のサンプルの放射コンポーネントの補正
- フレッシュエネルギーレベルの自動最適化
- サンプルスキップ、および精度基準のオプション
- XおよびYセグメントの高速ズーム機能
- 温度関数としての熱拡散率、比熱容量、熱伝導の表とグラフ
- 試験時、および試験完了により使用可能になる全モデルの計算
標準モデルの内容:
- 多次元の熱損失補正および非線形回帰向けGembarovic
- 最適なモデルを選択するための適合度評価
- t0を決定するパルス重心
- パルス長さと波形補正
- 2層および3層分析
- 面内
- メインモジュール:• Clark and Taylor Cowan • Degiovanni • Koski • Least Squares • Logarithmic • Moment • Heckman • Azumi • Parker