伸長粘度フィクスチャー (EVF) は、ARES-G2でのポリマー融解物、生地、接着剤などの高粘度材料の伸長粘度測定に役立つ特許取得済みのシステムです。伸び変形する材料の挙動が吹込み成形や紡糸などの様々な処理条件に関連していることを踏まえ、分子構造や分岐に関する重要な情報を提供するのに十分な感度を備えています。小型かつ摩擦を低減した設計により、EVFは従来型の剪断レオロジーを補完する伸長測定の測定に最適なプラットフォームを提供します。
特長とメリット:
- ARES-G2での伸長粘度測定に適した特許取得済みシステム
- 摩擦低減設計により一切摩擦を事前に調整することなくデータを提供可能
- ポリマー融解物などの粘土の高いサンプルに最適
- 分子構造や長鎖分岐に関する非常に感度の高い情報を提供します
- 最高で350℃までFCOに適合
- 最大4.0のHenckyひずみに対応
- 最高10 s-1の伸長剪断速度
- サンプル容量が少なくて済むため追加のサポートを必要としません
技術:
EVFは二つのドラムから構成されており、片方は固定据置型、もう片方は回転型で固定ドラムの周りを回転しながら一定の速度でサンプルの一軸延伸を行います。固定ドラムはトルクトランスデューサーやフォーストランスデューサーと直接組み合わせることができ、ギアやベアリングによる伸長応力測定への悪影響を防止できます。これによって、ベアリングの摩擦補正を必要とすることなく最高精度の応力測定を実現可能としています。ギアを通じてARES-G2モーターに接続された回転シリンダーは固定ドラムの周りを円軌道で移動し、同時に自身の軸を回転させることで均一なサンプル変形を実現しています。最高350℃の温度制御機能がフォースコンベクションオーブン (FCO) により提供され、最大4.0のHenckyひずみを印加することができます。
ポリエチレン中の分岐の影響
ポリエチレン中の分岐の影響
伸長粘度フィクスチャーを測定することで、紡糸処理やインフレーション成形処理中のポリオレフィンの挙動に関する多くの重要な情報がわかります。これらの処理ではひずみ硬化の発生が望まれているため、伸長レオロジーデータを処理条件を最適化するために使用することができます。この図は3種類の代表的なポリエチレン材料である低密度ポリエチレン (LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン (LLDPE) および高密度ポリエチレン (HDPE) の伸長粘度を示しています。LDPEのサンプルは高度な長鎖分岐構造を持つため、高伸長ひずみではかなりのひずみ硬化が発生することが示されています。対照的に、HDPEやLLDPEのサンプルは長鎖分岐構造が少ないため、ほとんどひずみ硬化を示しません。
ポリエチレン合成における触媒処理の影響
ポリエチレン合成における触媒処理の影響
液相重合法によりメタロセン触媒を用いて得られたポリエチレンサンプルの伸長データを図に示します。比較のため、従来の処理方法を用いて製造されたLDPEおよびLLDPEサンプルのデータも示しています。メタロセン触媒を用いることで、ポリマー構造を制御することができます。これによって目的に合った分子構造を得ることができ、要求性能に合った物性を調整することができます。メタロセン触媒を用いて合成されたPE材料は強いひずみ硬化性と伸長特性を示し、粘度曲線の形は標準的なLDPE材料の粘度曲線とほぼ同じ形になります。