IsoSORP SAは高圧および真空環境下での吸着量測定を実現する特許取得済み*の磁力サスペンションバランスを備えた高度な重量測定器です.
-196°C~400°Cの幅広い温度範囲に対応し、様々なガスや蒸気が存在する条件下でサンプルを測定できます。注入および混合デバイスを柔軟に選択し、組成と反応雰囲気の圧力を正確に制御します。20年以上にわたって培ってきた経験と数多くのお客様の現場での実績を駆使して設計および構築されたRubothermシリーズIsoSORP SAは、あらゆる吸着分析装置の中で最も幅広い圧力範囲に対応し、アプリケーション関連分析の業界標準となるものです.
* ドイツ特許番号10 2009 009 204.8
特長とメリット:
- 非接触式のサンプル計量によってサンプルセルとバランス間を気密分離し、サンプルセル内の反応ガス、圧力、温度によってバランスが破損するリスクを低減
- サンプル反応セルを金属密封することで、腐食性、爆発性、毒性反応ガスを極低温条件から高温条件、および真空条件から高圧条件下での測定を実施することが可能
- 独自の自動サンプル分断機能により実験中にバランスの風袋引きを行い、競合他社の装置で必要とされるような手動バランス較正を行うことなく、長期間にわたって比類のないベースライン安定性を備えた非常に正確な測定を実施可能
- 反応ガスに浸漬されたサンプルセル全体を加熱することができ、高圧または高湿度条件環境でも水蒸気、CO2、アンモニア等の反応ガス蒸気の結露を防止可能
- サンプルセル内の反応ガス密度の重量を測定することで、あらゆる圧力条件や温度条件で重量データおよび反応ガス組成の自動かつ正確な浮力補正を実施可能
- 幅広く動的な重量測定範囲とサンプル容量によって、典型的なサンプルに加え、大型のサンプルや重量のあるサンプルを計測することが可能
磁力サスペンションバランス (MSB) | 圧力[1] | 温度 | 注入システムのタイプ | |||
IsoSORP SAのモデル | 分解能 (μg) | 質量範囲 (g) | 最大圧力 (bar) | 最低 (°C) | 最高 (°C) | |
400-150, S-G | 10 | 25 | 150 | RT | 400°C | 静止ガス (S-G) |
400-150, S-G XR | 1 | 10 | 150 | RT | 400°C | |
400-150, S-G Cryo | 10 | 25 | 150 | 196°C[2] | 400°C | |
400-150, S-G LT | 10 | 25 | 150 | -20 | 400°C | |
400-150, S-G XR LT | 1 | 10 | 150 | -20 | 400°C | |
400-50, S-G+V | 10 | 25 | 50 | RT | 400°C | 静止ガス&蒸気 (S-G+V) |
400-50, S-G+V XR | 1 | 10 | 50 | RT | 400°C | |
400-150, S-SC | 10 | 25 | 150 | RT | 400°C | 静止臨界流体
&ガス |
400-150, S-SC LT | 10 | 25 | 150 | -20 | 400°C | |
150-150, S-SC Visi | 10 | 25 | 150 | RT | 150°C[4] | |
150-350, S-SC | 10 | 25 | 350 | RT | 150°C[3] | |
150-350, S-SC LT | 10 | 25 | 350 | -20 | 150°C[3] | |
150-350, S-SC Visi | 10 | 25 | 350 | RT | 150°C[4] | |
150-700, S-SC | 10 | 25 | 700 | RT | 150°C[4] | |
400-50, F-G | 10 | 25 | 50 | RT | 400°C | フローガス (F-G) |
400-50, F-G XR | 1 | 10 | 50 | RT | 400°C | |
400-150, F-G | 10 | 25 | 150 | RT | 400°C | |
400-150, F-G XR | 1 | 10 | 150 | RT | 400°C | |
400-50, F-G+V | 10 | 25 | 50 | RT | 400°C | フローガス&蒸気 (F-G+V) |
400-50, F-G+V XR | 1 | 10 | 50 | RT | 400°C | |
400-150, F-G+V | 10 | 25 | 150 | RT | 400°C |
[1] 真空仕様:0.0075 Torr 対応可(適切な真空ポンプが必要)
[2] サンプルは-196°Cまたは-186°Cまで冷却可能、連続温度制御範囲-150°C~400°C
[3] 150 bar未満の気圧で400°Cまで対応
[4] 電気ヒーターは搭載されていません
独自の磁力サスペンションバランス技術
独自の磁力サスペンションバランス技術
Rubothermの装置すべてに特許取得済みの磁力サスペンションバランス(MSB)が採用されており、外部マイクロバランスを使用して密閉型反応セル内のサンプルを計量します。これは、サンプルセル壁面を介して重量を伝達する磁力サスペンションカップリングによって実現しています.
この設計では、上側の内部サスペンションシャフトの上にサスペンション用の永久磁石が取り付けられています。下側の内部サスペンションシャフトはサンプル材料を保持しているるつぼに接続されています。上下のサスペンションシャフトの間には、ロードカップリング機構があります。上下シャフトとサンプルるつぼは、サンプルセル内に封入されています.
外部の電磁石を制御して内部の永久磁石を引き寄せます。これによって内部のサスペンション磁石が持ち上げられ、ロードカップリングが係合した結果、サンプルるつぼが持ち上げられます。電磁石制御装置はシステムが一定の高さの測定点に到達するまで引力を印加し続けます.
セル内のサンプルの重量は、電磁石が接続された外部マイクロバランスを使用して高い解像度と精度を実現しながら測定されます.
自動サンプル分断機能 (ASD)
自動サンプル分断機能 (ASD)
重量分析実験開始時には、バランスが自動的に風袋引きされ、重量測定に備えて較正が行われ、「ゼロ点」が決定されます。このゼロ点はその後すべての計測に使用される値です。しかしながら、実験期間には数時間から数週間のばらつきがあるため、長期間にわたって小さな重量変化を測定する場合、ゼロ点のドリフトが生じることで正確に測定を行えない可能性があります。ドリフトは通常、実験室の温度や空気圧、湿度の変動など外部要因によって発生します.
従来は信号精度を向上させるため、空のるつぼでベースライン測定を実行し、サンプル測定実行時にその結果を差し引いていました。この方法は実験時間が倍になるうえ、2つの実験結果が必ずしも全く同一になるとは限らないため本質的に欠陥を抱えています。特許取得済みのMSB技術を持つTAのIsoSORP SAだけがリアルタイムでのドリフト補正機能を備えた独自の自動サンプル分断機能(ASD)を提供し、特に長期間における測定においてかつてないレベルでの重量精度の向上を実現しています.
ASDの動作原理:
上の図で示すように、MSBの設計にはシャフトロードカップリングが含まれています。電磁石にエネルギーが印加されると、上側シャフトに接続された永久磁石が電磁石に引き寄せられます。上側シャフトが上昇し、カップリングを係合させ、るつぼが測定点まで引き上げられると重量測定が実施されます。実験中はいつでもサスペンション永久磁石を下方向に移動してサンプルるつぼから分断することができます.
この下側への移動中、シャフトロードカップリングは支持部上に安置されます。サスペンション磁石は浮遊状態のまま、その重量のみをバランスに伝達します。無負荷状態のバランスに対応する新しいゼロ点位置に移動することで、サンプルセル内がプロセス条件(圧力、温度)下であっても、測定中に風袋引きや較正を実施することができます。測定中にソフトウェアによってバランスの自動較正を行うこのような独特の機能は、TAインスツルメントの商用重量分析装置でのみ利用可能です.
デュアルサンプルの重量と気体相密度の測定
デュアルサンプルの重量と気体相密度の測定
IsoSORPは追加のロードカップリングとサンプル位置を使用して、一回の実験で二つのサンプルの重量測定を実施するように構成できます。この機能は二つのサンプル(反応性サンプルと標準サンプルなど)の比較測定、または反応炉内の気体雰囲気の吸着度と密度両方の測定に使用できます.
追加のカップリングとサンプル位置によって、MSBは合計3つの垂直位置で制御されることになります。これらには、ゼロ点、風袋引き点、測定点1、測定点2があります。以下、この機能を上記の一連の図を使用して説明いたします:
- ゼロ点位置:マイクロバランスの風袋引きや較正を行うため、永久磁石のみが吊り下げられています。
- 測定点1:永久磁石が持ち上げられ、第1カップリングが係合し、収着量測定1で1番目の反応性サンプル(吸着材、触媒、有機材料など)の重量が測定されます。
- 測定点2:第1カップリングが係合した状態で、永久磁石をさらに持ち上げると第2カップリングが係合し、両方のサンプルを持ち上げ、合計重量を計測することができます。測定点1で測定した質量を合計重量から減算することで、吸着量測定2での2番目のサンプルの重量を測定することができます。反応炉内の流体相密度を測定する際は、既知の体積を持つ不活性化処理済シンカーが2番目のサンプルの役割を果たします。アルキメデスの原理を使用して、シンカーに作用する浮力から反応炉内の気体相密度を正確に測定することができます。
自動浮力補正により真の質量測定において比類なき正確性を実現
自動浮力補正により真の質量測定において比類なき正確性を実現
吸着量測定では、サンプルは温度と圧力が制御された状態で反応ガスに曝されています。通常圧力は段階的に上昇し、測定中のサンプルを包む、あるいは接触するガスの吸着または吸収によってサンプル質量が変化します。サンプル質量のほか、気体相密度も圧力や温度と共に変化し、サンプルに作用する浮力効果も変化します。浮力効果はサンプルにより排出された反応ガス雰囲気の質量に等しいため、サンプル質量の「見かけ上の」減少や、バランスでの「見かけ上のサンプル質量」測定を引き起こすことになります。「正確なサンプル質量」を取得するには、浮力補正を行う必要があります.
どのバランスも、正確なサンプル質量と見かけの質量と呼ばれるサンプルに対する浮力効果との差分の測定のみを実施することができます。サンプル質量の浮力補正を行うには、排出ガスの質量 (mG) をバランスが計量した見かけのサンプル質量 (Δm) に追加する必要があります(式1)。排出ガスの質量を正確に測定するには、サンプルの容量 (V) とガスの密度 (ρG) の両方を知る必要があります(式2).
状態方程式からρG を算出するのに圧力や温度データに依存する従来型の収着分析器とは異なり、IsoSORPは直接的な質量測定を行います。独自設計により、既知の質量と容量を持つ不活性化処理済「シンカー」を配置可能な第2計量位置を搭載しています。シンカーを使用した単純な重量測定を行うことで、その場で直接実際のρG を測定できます。これは密度を直接測定するため、計算式を使った方法よりもはるかに正確であり、反応ガスが純流体ではない場合でも正確な結果を提供します.
また、IsoSORPはHeを反応ガスに用いた浮力測定を行い、正確にサンプル容量を自動的に測定します。IsoSORPはρG とVの両方を直接かつ高精度で測定可能な唯一の装置であり、排出ガス質量も直接測定可能です。これによってサンプルの真の質量を比類なき正確度で測定可能です.
サンプル温度制御
サンプル温度制御
IsoSORP SA装置は-196°C~400°Cの最高温度範囲に対応した構成で利用可能です
すべてのIsoSORP装置に液体循環温度システムが搭載されており、室温から150°Cまでの範囲で温度制御機能を提供します。LT構成では、-20°C~100°Cの範囲で制御可能な低温バージョンを利用可能です.
極低温冷却は、-196°Cで液体窒素を使用する、または-186°Cで液体アルゴンを使用する等温試験用のCryo構成で利用可能です。オプションの低温気体冷却システムを使用することで、Cryo構成で-150°Cから最大20°Cまでの低温度制御を行えるように機能を拡張することができます.
ほとんどのIsoSORP装置の構成に電気式のサンプル加熱システムが付属しており、液体循環器の温度制御範囲が拡張されています。電気加熱により、約100°Cから最大400°Cまでのサンプル温度を制御可能です。最大圧力350 barで構成されたシステムでは、150 barを超える圧力で作動させる際の最大温度は150°Cに制限されます.
お客様アプリケーションの要件を満たすため、20種類を超えるモデルのIsoSORP SAが事前に構成されています。詳細については、機器仕様を参照してください.
Dosing Systems
注入システム
ガス&蒸気注入、混合、圧力制御システム
収着量測定の精度は、圧力制御の精度や反応雰囲気の組成によって決まります。IsoSORP SAは最高のデータ品質を保証する圧力コントローラーを備えた3種類の高度なガス&蒸気注入・混合システムを搭載しており、幅広いアプリケーションに柔軟に対応しています.
純粋なガスまたは蒸気と共に使用する静圧コントローラーは設定点に達するまでサンプルチャンバーを反応雰囲気で満たします。その後、ガスや蒸気が流れ出すことはありません。純ガス、ガス混合物やガス&蒸気混合物に使用するフロー注入・圧力コントローラーシステムは、排出口の動圧コントローラーを使用してサンプルセル内へ反応雰囲気を連続的に流し込みます。混合注入システムは、ガス混合物とガス&蒸気混合物に使用します。これらのユニットによって、制御された組成混合物の混合と体積注入を行い、選択的な測定を行うことができます.
蒸気(水、炭化水素、溶媒など)および凝縮性流体(CO2、NH3、ブタンなど)を含むアプリケーション用の特別な加熱型バージョンでは、静圧コントローラーを利用可能です。加熱によって、高圧条件下でも結露を防止します。他の商用吸着分析装置のような圧力制御範囲の制限を排除し、比類なき幅広さの適用範囲を実現しています.
ガス&蒸気注入システムには、実際のステータスとIsoSORP装置内の反応雰囲気の圧力を表示するタッチスクリーンが備わっています。自動操作とデータ収集は、RSCSソフトウェアによって制御されます。利用可能なガス&蒸気注入システムと仕様の一覧を以下の表にまとめています.
注入システムのモデル | フロー / 静的 | 最大圧力[1]] | 結露防止ヒーター | 純ガス、蒸気、亜臨界流体 | ガスの混合[2]、ガス[2] + 蒸気 |
50 F-G | フロー | 50 bar | — | G, SC[3] | G |
50 F-G+V | 50 bar | 200°C | G, SC[3], V | G, G+V | |
150 F-G | 150 bar | G, SC[3] | G | ||
150 F-G+V | 150 bar | 200°C | G, SC[3], V | G, G+V | |
50 S-G+V | 静的 | 50 bar | 150°C | G, SC[4], V | — |
150 S-G | 150 bar | — | G, SC[3] | — | |
150 S-SC | 150 bar | 100°C | G, SC[5] | — | |
350 S-SC | 350 bar | 100°C | G, SC[5] | — | |
700 S-SC | 700 bar | 100°C | G, SC[5] | — |
[1] 真空仕様:0.0075 Torr 対応可(適切な真空ポンプが必要)
[2] 指定最大圧力限界値未満までの亜臨界流体(SC)を含む
[3] 亜臨界流体の最大圧力は室温での凝縮圧力の約40%までに制限されています
[4] 亜臨界流体の最大圧力は150°Cでの凝縮圧力の約40%までに制限されています
[5] 亜臨界流体の最大圧力は100°Cでの凝縮圧力の約40%までに制限されています
腐食性ガスおよび毒性ガスの吸着量測定
腐食性ガスおよび毒性ガスの吸着量測定
多くのアプリケーションで毒性ガスや腐食性ガスが使用または生成されています。吸着はこれらのガスを含む混合物の分離や浄化にしばしば用いられる手法です。関係するすべてのガスの吸着等温曲線は、吸着浄化処理や吸着浄化材の適切な設計を行う上での基礎となるものです。IsoSORP SAは反応雰囲気を完全に周囲から絶縁するため、腐食性ガスや毒性ガスを使用した収着量測定を実施でき、処理や材料の開発に必要な吸着等温曲線を得られるようになっています.
天然ガスやバイオガスには毒性のある汚染物質であるH2Sを相対的に高い濃度で含まれており、使用前にこれをガスから除去する必要があります。H2SがCH4よりも優先的に吸着され、天然ガスやバイオガスの主成分かつ有益な物質である場合は、天然ガス混合物からのH2Sの選択的吸着をこの浄化処理に用いることが可能です。以下の図に、活性炭表面の純粋なH2Sと純粋なCH4の吸着等温曲線を比較したものを示します。測定は25°C、かつH2Sの蒸気圧範囲の70%以上を対象に実施しました。H2Sの吸着量はCH4の吸着量の約3倍以上であることが判明しました.
アンモニアは重大な悪臭公害を引き起こす、有毒かつ腐食性の高い物質です。このため、農作業や廃水処理からの放出ガスなど、様々なオフガスからアンモニアを除去する必要があります。また、吸着冷凍サイクルにおいて作動流体としてアンモニアを使用することは、空調の提供など環境的により優れた代替処理であると考えられます。これらすべての処理において、アンモニアの吸着等温曲線と脱着等温曲線が基本に必要な情報となります。以下の図では、25°Cでの活性炭表面のアンモニアの吸脱着等温曲線と圧力を比較したものを示しています。アンモニアは132.4°C未満では気体であるため、表示されている等温曲線は実際の蒸気吸着量ならびに脱着量を表しています。プロットの第2x軸に示された相対蒸気圧範囲は、この測定では0.999までの範囲を対象にしています.
以下の例での測定は加熱型圧力コントローラーを搭載したIsoSORP SA (400-150, S-SC)装置を使用して実施されました。加熱型圧力コントローラーにより、亜臨界状態のH2SとNH3を液化することなく高圧まで使用することができます.
毒性ガスおよび爆発性ガスの吸着量測定
毒性ガスおよび爆発性ガスの吸着量測定
多くの場合、技術的な燃焼処理では燃料を完全に酸化することはできません。結果として、COが発生します。また、石炭とバイオマスのガス化処理、水蒸気改質、および高炉ガスでは、相対的に大量のCOが発生します。この毒性ガスは複数の触媒の作用を損なわせることが知られており、引き続き下流ガス浄化工程で利用する前に除去する必要があります。吸着は、一般的には確実なガスの分離や浄化を行うためのプロセスです。適切な吸着剤の選択と開発には、吸着等温曲線が必要です。上記の図では、25°Cでの活性炭表面のCOおよびCH4の吸着量と高圧まで比較したものを掲載しています。この吸着剤は明らかにCH4からのCO除去には適していません。なぜならばCH4が優先的に吸着されるからです.
上記の図に示すように、永久ガスの測定は静圧コントローラーまたはフローガス注入システムを備えたすべてのIsoSORP SA装置を使って実施可能です.
高圧ガスおよび臨界流体の収着
高圧ガスおよび臨界流体の収着
多孔性吸着剤表面での高圧ガス収着量測定は、固体-気体反応を理解するための重要なプロセスおよびアプリケーション関連の測定に必要なものを提供します。高圧ガス収着分析は定量的な質量変化や吸脱着運動速度のみならず、実際のアプリケーション関連の収着能、細孔アクセシビリティ、等量吸着熱に関する情報も提供します。一般的な試験材料には活性炭、ゼオライト、金属水素化物、金属有機構造体(MOFs)およびシリカがあります.
RubothermシリーズIsoSORP SA装置を使用することで、正確性と再現性に優れた高圧ガス吸着量を測定可能です。測定再現性を実証するため、様々な構成のIsoSORP SA装置を使用して内部標準物質に対する高圧窒素(N2)吸着量測定を実施しました。以下の図では、4種類の静的またはフロー構成のIsoSORP SA装置で150 barまでの圧力範囲でN2の吸着量を測定した結果を比較しています。構成の異なる別々の装置での測定でも優れた再現性が示されています
IsoSORP装置ではギブスの過剰吸着量データも取得可能です。過剰吸着量データは、Heを基準ガスに用いて測定された吸着剤の骨格体積を使用して補正された浮力/死容積となります。吸着質が占有する細孔容積の増加は無視されます。結果として、過剰吸着量、等温曲線は高圧条件下で最大値を通過した後に下降していきます。高圧、および一般的に吸着占有面積や細孔占有面積が大きい場合は、過剰吸着量と絶対吸着量に大幅な差が生じます。これを右下の図に示しています。ここでは、30°Cおよび330 barまでの気圧範囲で石炭サンプル表面のCH4過剰吸着量と絶対吸着量を比較しています.
RubothermシリーズRSCSでは、ソフトウェアを使用して実験データに基づく過剰吸着量を絶対吸着量に容易に換算することができます。吸着質の密度は過剰吸着等温曲線の下降部分から求められ、データ処理した結果から得ることができます.
高圧ガスおよび臨界流体の収着
高圧ガスおよび臨界流体の収着
地下深くの地層は通常高圧状態になっています。天然ガスは数千メートルの深さの石炭層またはシェール層に吸着されています。これらの非在来型ガス層を利用するには、これらの物質中のガスの量を均一の圧力および温度条件下で測定する必要があります。IsoSORP SA装置は最大700 barおよび150°Cの測定に使用可能であり、深さ約5,000メートルの条件下でも使用可能です。以下の図では700 barまでの圧力と様々な温度条件下で測定したCH4の容量をシェール1トンあたりの立方フィートで表しています。このデータによって、地質学的なシェールガス層の貯蔵能力を導き出すことができます.
室温で亜臨界状態にある流体の高圧収着量測定を行うには、装置を完全に加熱する必要があります。接液部内に低温部分があると、亜臨界(SC)流体の結露やシステム温度の低下が発生します。IsoSORP SA装置には加熱型圧力コントローラーを装着することができ、すべての接液部の温度が技術的に関連性の高い多くのSC流体(CO2、ブタン、NH3など)の臨界温度を確実に上回るようにすることができます。これによって、高圧条件でのSC流体を使用した測定が可能になります.
下側右の図では35°Cおよび80 barまでの気圧範囲でのポリエーテルポリオール中のCO2吸収量を表しています。*ポリオールは硬質ポリウレタンフォームの製造に使用され、形成時にはCO2が発生します。プロセスおよび材料開発を行うには、PとTが制御された状態でのCO2溶解度を知る必要があります。IsoSORP SA装置はこのデータ生成に最適な設計が行われています.
非剛性収着剤(ポリマー、イオン液体)はガスの吸着によって、その体積/密度が変化します。この体積変化は、プロセス設計やデータ処理を行う上で非常に重要なものです。この目的を果たすため、IsoSORP SAには試験材の体積変化を光学的に検出可能な窓を備えた高圧サンプルセルを搭載することができます。窓付き高圧サンプルセルを搭載したIsoSORP SAの図を右に示します。CO2を吸収したポリマーの体積を上記の図に緑色のデータとして表しています。*
* データ出典元:M. R. Di Caprio, et al.: Polyether polyol/CO2 solutions: Solubility, mutual diffusivity, specific volume and interfacial tension by coupled gravimetry-Axisymmetric Drop Shape Analysis; Fluid Phase Equilibria; 425 (2016), 342-350
蒸気吸着
蒸気吸着
多くの基本的な化学工学・材料工学アプリケーションで、蒸気収着への基本的な理解が要求されます。たとえば、ガスや空気の乾燥、煙道ガスの浄化、製油所ガスの分離、医薬品や食品の湿潤・乾燥処理などです。これらの例やその他無数の例では、吸脱着等温曲線および水や有機溶媒蒸気の反応速度が適切な材料形成やプロセス設計を行う上で重要になります.
ガス&蒸気注入システムを備えたIsoSORP SAシステムは、蒸気収着量の測定に最適です。独自設計のIsoSORPには結露防止ヒーターが備わっており、非常に高湿度・高蒸気圧条件下でも技術的に関連性の高い加湿気体と純蒸気の両方を使用して測定を行うことができます。右側の図に120°Cにおける活性炭表面の純水蒸気(キャリアガスなし)の吸脱着等温曲線を示します。ここでは、120°Cで飽和圧力の約90%である1.8 barまで測定を行いました。等温曲線の形状は疎水性吸着剤に典型的なものであり、飽和圧力の50%未満ではほぼ吸着が見られません。その後、吸着量が増すと急激に質量が約45%増加します。脱着等温曲線は、吸着等温曲線に対してヒステリシスループを描きます.
以下の図に別の例として25°Cの活性炭表面の純ジクロロメタン蒸気の吸着量を示します。ジクロロメタンは洗浄剤や溶剤として幅広く利用されている物質です。この物質は毒性があるため、環境中に排出してはなりません。ジクロロメタンやその他有機溶媒の除去には、一般的に活性炭による吸着が用いられます。この結果から、活性炭表面の有機物蒸気の等温曲線は典型的な第一型の吸着等温曲線を示し、65 wt%まで上昇することがわかります.
Rubotherm IsoSORP SAは、純粋な、圧力制御された蒸気、あるいは加湿キャリアガスフロー内での静的な蒸気収着量の測定を複数の構成で実施可能です。測定方法は対象となる材料のアプリケーションに応じて選択されますが、装置の信頼性が高いため、測定手法によらず等しい結果を求めることができます。IsoSORPの優れた性能を実証するため、以下の図に150°Cの条件で水蒸気を純蒸気とした場合の吸着量とN2キャリアを使用した場合の結果を比較したものを示します。ここでは、IsoSORPの構成がアプリケーションによらず等しいデータを生成することがわかります.