小角光散乱 (SALS)
小角光散乱 (SALS) システムは、粒子のサイズ、形状、方向、空間的分布など、レオロジーと構造に関する情報を同時に取得するためのオプションです。DHR-3およびDHR-2レオメーターで利用できます。このオプションはTAインスツルメントのSmart Swap™技術を採用し、レオロジー測定とSALS測定を同時に行うため速度とシンプル性を大幅を向上させます。システムはわずか5分間で設置、調整、測定の準備ができます。特許取得済みのペルチェプレート温度制御(1) を備え、測定可能な散乱角度 (θ) 範囲は約6°~26.8°です。散乱ベクトル範囲 (q) は1.38 μm-1 ~ 6.11 μm-1で、長さスケール範囲は約1.0 μm~4.6 μmです。
技術
SALSアクセサリは上部アセンブリと下部アセンブリ、石英プレートのジオメトリから構成されます。下部アセンブリには内蔵型Class 2レーザー (波長635 mmの0.95 mWダイオード) が含まれ、直径5 mmの石英製の窓が付いた特許取得済み (1) のペルチェプレートの下にあります。ペルチェプレート面はステンレス鋼製で、温度範囲は5℃~95℃です。上部アセンブリはレンズとカメラのセットから構成されています。散乱光は高さ調整可能なカップ内部に取り付けられたレンズのペアによって集められ、さまざまなサンプル深さに焦点を合わせることができます。その後、光は第2レンスを通して集められ、偏光測定、非偏光測定の両方に使用される調整可能な偏光子を通って送られます。最後に、散乱光はピンホールを通って集められ、カメラによって記録されます。上部ジオメトリは直径が50 mmで、光学石英ディスクの厚さは2 mmです。並行プレートの単一点補正に従うため、レーザーはプレート半径 (プレート回転軸から19 mm) の0.76倍に設定されます。この配置によって、SALSシステムの省スペース性を維持しつつ、位置調整と焦点調整を迅速かつ再現性のある方法で実施できます。レーザー強度を減らすためのオプションとして、NDフィルターを利用できます。(1) 米国特許番号7,500,385
機能と利点
- Smart Swap™テクノロジー
- qベクター範囲は約1.38 μm-1~6.11μm-1
- 対象の長さスケール範囲は約1 μm~4.6 μm
- 散乱角度は約6°~26.8°
- 波長は635 nm
- 調整が最小限で済む小型の上部アセンブリ
- 工場で調整されたレーザーを備えたSmart Swap™下部アセンブリ
- Class 2レーザー – 安全上の問題なし
- オプションのNDフィルターでレーザー強度を調整可能 • さまざまなジオメトリギャップに合わせて調整するため焦点深度を変更可能
- 入射光に並行または垂直方向に散乱させるため偏光子を調整可能
- カメラチップ上に直接焦点が合うイメージ – スクリーンや暗室が不要
- 単分散ポリスチレンビーズの較正により定量的計測が可能
- 分析用ソフトウェアがオプションで入手可能
- 特許取得済みのペルチェプレート温度制御
顕微鏡
Shear-Induced Phase Separation of Micellar Solutions
剪断によるミセル溶液の相分離
自己組織化する界面活性剤は、幅広いアプリケーションにおける材料の形成と機能に重要な、剪断によるさまざまな微小構造の変化を示します。剪断中にSALSを使用してレオロジーと界面活性剤の微小構造を同時に測定することで、液体中における剪断による変化を分析することができます。図のデータは界面活性剤のレイメトリデータと同時に取得した散乱光の画像を示しています。応力プラトー領域未満の、剪断速度が低い部分では、サンプルから測定可能な散乱光は得られません。このことは、大規模な液体の構造化が起きていないことを示しています。しかし、応力プラトー領域では、剪断速度が増加するにつれて、強力な異方性散乱パターンが発達します。この「バタフライ」パターンは、2相間の界面が強力な散乱コントラストを発生させる相分離の結果生じます。